circle of pain
この時期になるとミントもバジルも枯れ、趣味である園芸が面白くない冬となる
だが春になって枯れた草から再び緑の芽が息吹くのを見つけた瞬間の暖かな喜びは
なんとも言えぬものがある
命の芽吹き
太陽の恵み
昔、とある南国の小島に一人で居た事がある
電気も無いので日が暮れるとランプと月明かりのみ
夜は星や月の明かりがあるので真の暗闇では無いのだが、毒蛇も獣もいるので出歩けはしない
海に面した崖っぷちの小屋、蚊帳の中で独り
夜というのはこんなにも暗く、波の音というのはこんなにも大きく恐ろしいものかと思う
ただ無力に明日を待ち、そして太陽の現れは正に新たな生の幕開けであり
闇を祓い身体を温めるその姿は自然に崇拝の対象となった
人は見えないものを恐怖するがために闇を照らし、夜の恐怖を薄めようとした
だが夜の恐怖を忘れる事は同時に太陽の明るさや暖かさを忘れる事にもなり
それに、この世には明かりを近づければ見える物ばかりでは無いのだ
ふと見ればバジルの葉が食い荒らされている、今年はミントに付かなかった
イモムシがバジルに付いたようだ
小さいやつらを取っては捨てていたら巨大なマザーイモムシを発見
取って捨てようと思ったが、捨てる事は結構な確立での死を意味する
せっかくここまで大きくなったことだし、バジルの命もイモムシの命も重さは同じだから
飛び立つまで許してやろうと蛾になるまで見届けることにした
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